アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性をアトルバスタチンで予防する:STOP-CA
Atorvastatin for Anthracycline-Associated Cardiac Dysfunction: The STOP-CA Randomized Clinical Trial
背景
アントラサイクリン系抗がん剤の心毒性をアトルバスタチンで予防できるか。
アメリカMassachusetts General HospitalのNeilanら(STOP-CA)は、アメリカ・カナダの9施設で、アントラサイクリン系ベースの化学療法が予定されているリンパ腫患者を対象に、12ヵ月アトルバスタチンまたはプラセボを割り付け、化学療法前後の左室駆出率(LVEF)の変化を比較するRCTを実施した(n=300)。
結論
12ヵ月後のLVEFが55%未満かつベースラインから絶対値10%以上低下していた患者の割合は、アトルバスタチン群で9%、プラセボ群22%であった(オッズ比 2.9)。LVEFが55%未満かつ絶対値5%以上低下の割合は、それぞれ13%、29%であった。24ヵ月のフォローアップ期間中にアトルバスタチン群の3%、プラセボ群の6%で心不全が発生した(有意差なし)。重篤有害事象の発生にも群間差はなかった。
評価
2016年のメタアナリシスが肯定を示唆していた効果である(https://link.springer.com/article/10.1007/s10552-021-01487-1)。同時に「必要」とされていた大規模検証を実現し、心機能不全高リスク患者への有力オプションを確定したと言える。