砂糖入り飲料を毎日飲むと肝がん・慢性肝疾患死亡のリスクが増加する
Sugar-Sweetened and Artificially Sweetened Beverages and Risk of Liver Cancer and Chronic Liver Disease Mortality
背景
砂糖・人工甘味料・ソフトドリンクとがんの関連は、国際がん研究機関(IARC)がアスパルテームを発がん性物質に指定したことで、改めて注目を集めている。
アメリカUniversity of South CarolinaのZhaoらは、1993〜1998年に全米40ヵ所で50〜79歳の閉経後女性を登録し、2020年までフォローアップしたWomen’s Health Initiativeの前向コホート(n=98,786)において、食事頻度質問票に基づくソフトドリンク・フルーツドリンク(100%のフルーツジュースでないもの)・人工甘味料入り飲料の摂取頻度と、肝がんの発症および慢性肝疾患による死亡との関連を調査した。
結論
フォローアップ期間中央値20.9年で、207名の女性が肝がんを発症、148名が慢性肝疾患により死亡した。1日1本以上の砂糖入り飲料を飲む女性は6.8%、人工甘味料入り飲料を飲む女性は13.1%であった。月3本以下の摂取と比して、1日1本以上の砂糖入り飲料の摂取は肝がんの発症(調整HR: 1.85)、慢性肝疾患による死亡(1.68)のリスクを増加させた。一方で、人工甘味料入り飲料は、肝がん発症・慢性肝疾患死亡の有意なリスク増加と関連しなかった(1.17, 0.95)。
評価
砂糖入り飲料の摂取が慢性肝疾患による死亡のリスクと関連することを初めて示した。人工甘味料との関連は認められなかったが、サンプルサイズが小さく確定的ではない。修飾可能な肝がんリスク因子である可能性が高く、詳細な研究が必要である。