熱中症患者に冷たい輸液をする意味はあるか
Whole-body cooling effectiveness of cold intravenous saline following exercise hyperthermia: a randomized trial
背景
高体温を呈する熱中症患者では効率的な全身冷却が必要とされるが、冷却した輸液の投与は体温低下に有効か?
アメリカUniversity of ArkansasのMcDermottらは、参加者に直腸温が38.9 ℃または完全な疲労状態に達するまで屋外運動を実施してもらい、その後、冷却輸液(5℃以下の生理食塩水)または日陰での受動的冷却を行う試験を、8名の健常参加者(女性3名, 年齢平均25歳, 体重72.9 kg)ごとにランダムな順番で2度実施した。
結論
平均冷却速度は、冷却輸液群で毎分0.039℃、受動的冷却群で0.028℃と、冷却輸液群で大きかった。冷却中の深部体温に群間差はなく、いずれの試験でも体温は経時的に低下した。心拍数や温度感覚の変化にも群間差はなかった。
評価
深部体温の低下に有効であるとした研究もあったが(https://doi.org/10.1097/JSM.0000000000000505)、この研究では体温に有意な差はみられず、冷却速度も十分とは言えなかった。浸漬など他治療が優先される。