医療過誤補償額の上限設定で米カージオロジストのCAG施行率が低減
Association of Medical Liability Reform With Clinician Approach to Coronary Artery Disease Management
背景
アメリカの医師は高い医療過誤訴訟リスクを背負っているが、このリスクは冠動脈疾患(CAD)の診断・治療上の意思決定に対しどのような影響を与えているか。George Washington UniversityのFarmerらは、2003〜2005年の医師によるCAD検査(CAG 2回以上施行)意思決定に対する新規補償上限設定(9州で導入)の効果を、無上限20州と比較することによって検討した(n=75,801[上限新規導入州36,647])。
結論
上限新規導入州は、人口的により若くマイノリティが多い低所得州であった。上限の導入は、導入州医師の初診時CAGを減らし(相対変化:-24%)、非侵襲的負荷試験を増やし(7.8%)、負荷試験後CAGを減らした。また、PCI施行率も減った(-23%)。虚血性疾患の評価率は、全体としては同レベルであった。
評価
補償上限の設定により「念のため」CAGが減ったことを示唆する結果である。上限設定により医師の保険プレミウムが激減した、という例も報告されている。