心原性ショックでImpellaがIABPに優らないのは交絡の問題か
Comparative Effectiveness of Percutaneous Microaxial Left Ventricular Assist Device vs Intra-Aortic Balloon Pump or No Mechanical Circulatory Support in Patients With Cardiogenic Shock
背景
最近の研究は、心原性ショックに陥った急性心筋梗塞(AMICS)に対する経皮的左室補助人工心臓(pLVAD, Impella)が、大動脈内バルーンパンピング(IABP)と比してアウトカムを改善しないことを示唆している。
アメリカBeth Israel Deaconess Medical CenterのAlmarzooqらは、2015年から2019年末までに経皮的冠動脈インターベンションを受けたAMICS患者のメディケア請求データを用い、pLVADとIABP・その他の治療法が30日全死亡・再入院率に与える影響を比較した(n=23,478)。
結論
pLVADによる治療は、高い30日死亡率と関連した(リスク差 14.9%)。ただし、pLVAD治療を受けた患者では重症性と関連する因子が多く、考慮外の交絡の可能性もあった。施設の実践パターンを考慮するため行った操作変数法による解析でも、pLVADの死亡率が高かったものの(13.5%)、こちらにも非測定変数の交絡の可能性があった。操作変数付き差分の差分法(instrumented difference-in-differences)では、pLVADと死亡率との関連は不明確であった。
評価
この研究のデータでもpLVAD治療患者における死亡率悪化がみられたが、本研究は複数の解析手法を用い、先行研究でも示唆されたこの関連が交絡によるものである可能性を指摘した。ランダム化比較試験による検証が必須である。