急性脳損傷患者での保護的換気に意義はあるか?
Mechanical ventilation in patients with acute brain injury: a systematic review with meta-analysis
背景
一回換気量とプラトー圧の制限、PEEPによる肺保護換気は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者に対して推奨されているが、より広範な集団におけるベネフィットは十分確立されていない。
フランスNantes UniversitéのAsehnouneらは、24時間以上の侵襲的換気を必要とする急性脳損傷(外傷または出血性脳卒中)患者を対象とした観察研究・前後比較研究を特定し、換気戦略が28日院内死亡率・その他のアウトカムに与える影響を評価する系統的レビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
8件の研究、5,639名の患者がメタアナリシスに含まれた。高一回換気量と比した低一回換気量(オッズ比 0.88)、高PEEPと比した低PEEP(0.80)、低一回換気量+高PEEPによる肺保護換気戦略(1.03)のいずれについても死亡率の差はみられなかった。また、これらはARDSの発生率にも影響は与えなかった。ただ、人工呼吸開始後5日間のPaO2/FiO2比は肺保護換気によって改善した。
評価
肺保護換気は酸素化を改善した一方で、死亡率と有意な関連を持たなかった。個別患者レベルのメタアナリシスであり、一応決定的とみなされる。