「代謝的に健全な肥満」概念は支持できるか:長期検証
Transition from metabolic healthy to unhealthy phenotypes and association with cardiovascular disease risk across BMI categories in 90 257 women (the Nurses' Health Study): 30 year follow-up from a prospective cohort study
背景
肥満の心血管疾患リスクは「代謝的フィットネス(健全性)」によって変わることが知られてきている。ドイツGerman Institute of Human NutritionのEckelらは、心血管疾患リスクに関する代謝的健全性とBMIステータスとの間の関連を時系列的に評価した。調査は121,701名のNurses' Health Study(NHS)参加女性看護婦を前向追跡して1980〜2010年に行われた。「代謝的健全」の定義は、糖尿病・高血圧症・高コレステロール血症 の不在である。
結論
中央値24年のフォローアップで、心血管疾患6,306件が発生した。「代謝的健全な肥満」女性の心血管疾患リスクは「代謝的に健全な非肥満」女性より高かったが(HR:1.39)、このリスクは「代謝的に不健全な正常体重」(HR:2.43)・過体重(HR:2.61)・肥満(HR:3.15)女性では更に高かった。この期間で「代謝的健全な肥満」女性の過半は不健康な表現型に変わった(非肥満女性の68%)。フォローアップ全期間で「代謝的健全な肥満」を維持した女性でも安定的に健全な非肥満女性よりは心血管疾患リスクは高かったが(HR:1.57)、このリスクは不健康な表現型に転換したベースラインでの「代謝的健全な肥満」女性よりは低かった。不健康な表現型では特に糖尿病・高血圧症が多かった。
評価
「フィットネスはファットネスより強い」という概念を補強する結果とも解釈できるが、Lancet Editorialは「肥満が健全である場合は少ない」と逆向きに題しており、微妙な結果である。