マットレスの上では十分な心臓マッサージが難しい
Effectiveness of Lay Bystander Hands-Only Cardiopulmonary Resuscitation on a Mattress versus the Floor: A Randomized Cross-Over Trial
背景
心停止者がベッドやソファなど柔らかい面の上で発見された場合、その場で胸骨圧迫を行った場合、体が沈み込むことにより、胸骨圧迫が不十分になる可能性がある。
アメリカUniversity of MichiganのMisselらは、医学的訓練を受けたことのない一般人の成人参加者(n=80, 女性66%)をマットレス面群または床面群に割り付け、マネキンに対する2分間の胸骨圧迫を行い圧迫深度を比較するランダム化クロスオーバー試験を実施した。
結論
平均圧迫深度はマットレス上で2.9 cm、床上では3.5 cmであり(平均差 0.58 cm)、いずれもガイドラインが推奨する約5 cmを下回った。線形回帰調整モデルでは両者の差は0.62 cmで、女性参加者ではより大きくなった(0.94 cm, 男性−0.01 cm)。
評価
予想される結果ではあるが、圧迫効率の悪化をモデル実験の具体的数値で示した。医療施設では背板を敷いて胸骨圧迫を行う場合もあるが、一般家庭では通常、利用不可能である。通信指令マニュアルの中には、心停止者を固い床面に移動させることを推奨しているものもあるが、胸骨圧迫の遅れとトレードオフであり、最適な戦略を知るにはさらなる研究が必要とされる。