オセルタミビルの使用は入院リスクを下げない:メタアナリシス
Evaluation of Oseltamivir Used to Prevent Hospitalization in Outpatients With Influenza: A Systematic Review and Meta-analysis
背景
オセルタミビル(商品名タミフル)は、外来インフルエンザ患者に広く処方されてきたが、入院や合併症を減少させる効果については重大な疑念が存在する。
カナダMcGill University のHanulaらは、インフルエンザ感染が確認された外来患者を対象に、オセルタミビルとプラセボ・非活性対照を比較したランダム化比較試験を特定し、入院予防に対する有効性および安全性を比較する系統的レビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
6,295名の患者を対象とした15件の試験が含まれた。オセルタミビルの使用は、治療意図感染(ITTi)集団の入院リスクを有意に減少させなかった(リスク比 0.77)。また、65歳以上の集団(0.99)、入院リスクの高い集団(0.90)でも入院リスクとの関連はみられなかった。オセルタミビルは悪心(1.43)、嘔吐(1.83)を増加させたが、重篤有害事象については有意差はなかった(0.71)。
評価
BMJ・コクランによる批判以降、オセルタミビルには議論が尽きないが、2020年に公表された3試験を含む、この最新のメタアナリシスでもオセルタミビルの有効性は示されなかった。興味深いことに、製薬会社スポンサーの研究だけに絞ると、入院リスク低下が示唆されるという。いずれにせよ、オセルタミビルの使用を正当化するためには、十分な検出力を備えた追加試験が必要とされている。