良性発作性頭位めまい症の自己頭位治療を改善する:Semont-plus法
The Semont-Plus Maneuver or the Epley Maneuver in Posterior Canal Benign Paroxysmal Positional Vertigo: A Randomized Clinical Study
背景
良性発作性頭位めまい症(BPPV)の治療の第一は頭位治療であり、後半規管型BPPVに対してはSemont法・Epley法が有効とされている。
ドイツLudwig Maximilian UniversityのStruppらは、ドイツ・イタリア・ベルギーの3施設に紹介された後半規管型BPPV患者をSemont-plus法またはEpley法へと割り付け、初回は医師により、その後は自宅で朝昼夕3回ずつ割り付けられた自己治療を行ってもらい、頭位めまいが発現しなくなるまでの期間を比較するRCTを実施した(n=195)。
結論
3日連続で朝に頭位めまいが発現しなくなるまでの期間(平均)は、Semont-plus群で2.0日、Epley群で3.3日であった。医師による初回の治療のみの有効性については、有意な差は検出されなかった(68.4% vs. 62.9%)。吐き気はSemont-plus群の24.5%、Epley群の19.6%が経験した。
評価
Semont-plus法は、Semont法で上体を患側に倒す際、頭部を診察台の面を超えて水平からさらに60°傾けるというものである(https://www.youtube.com/watch?v=2i2aPW0iMxA)。本試験は、同チームによるSemont法とSemont-plus法を比較した先行RCTに続いて(https://doi.org/10.3389/fneur.2021.652573)、BPPV治療におけるSemont-plus法の有効性のエビデンスを提供する。