冠動脈硬化の初期事象は局所的血行力学異常?
Local Low Shear Stress and Endothelial Dysfunction in Patients With Nonobstructive Coronary Atherosclerosis
背景
アテローム動脈硬化性(AtS)プラークの発生・進行の初期には、局所的血行力学因子が重要である可能性がある。Harvard Medical SchoolのStoneらは、冠動脈内アセチルコリン注入とCAG/IVUSによる血管プロファイリングを用いて、非閉塞性冠AtS患者(内腔狭窄率<30%)における内皮の剪断応力(ESS)と微小血管および心外膜内皮の機能障害との間の関連を検討した(n=65)。
結論
微小血管機能異常を有する冠動脈セグメントは、正常セグメントよりESSが低かった(平均ESS:1.67 vs. 2.03Pa、最低ESS:0.54vs. 0.72Pa)。同様に、心外膜内皮機能異常を有する冠動脈セグメントも正常セグメントよりESSが低かった(平均ESS:1.49 vs. 1.93Pa、低ESS:1.26vs. 1.56Pa、最低ESS:0.51 vs. 0.65Pa)。微小血管内皮機能異常患者では平均・最低ESSが進行的に低下し、心外膜内皮機能異常に至るとみられる。
評価
局所的血行力学的要因が冠AtSの初期イベントでありえることを示唆した。JACC Editorialは、この研究では血行力学異常と内皮障害の間の関連が因果関係であるかどうかは明らかでない、と指摘している。仮説生成論文とみなされる。