STEMIアウトカムの性差を消す
4-Step Protocol for Disparities in STEMI Care and Outcomes in Women
背景
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)では特に治療反応に性差がある。Cleveland ClinicのKhotらは、同病院が導入したSTEMIプロトコルの効果の解析結果を報告している。同プロトコルは以下の4ステップからなる。1) ED来診段階でカテラボをスタンバイさせる、2) STEMI Safe Handoff Checklistに従う、3) 即時利用可能なカテラボに即時転送する、4) 「ラジアルファースト」によるPCIアプロ―チ。研究参加者は1,272名である。
結論
参加女性は男性より年齢が高く合併症も多かった。プロトコル実施前(コントロール)では、女性はガイドライン遵守薬物治療(GDMT)率が低く、D2BTが長く、さらに入院中の脳卒中・血管合併症・出血・輸血・死亡発生頻度が高かった。しかし、プロトコル実施後には、GDMT・D2BT・入院中有害事象の性差がすべて解消され、さらに30日死亡率の性差も有意でなくなった。
評価
STEMI死亡率の性差を認めるもののその原因は疾患自体に帰せられる、と示唆した研究もあった(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19706861)。このCleveland研究は、医療側からのシステマティックなアプローチで性差が消滅する、という重要で興味深い結果を初めて提示した。