僧帽弁修復術における低侵襲性アプローチは標準アプローチに優るか:UK Mini Mitral Trial
Minithoracotomy vs Conventional Sternotomy for Mitral Valve Repair: A Randomized Clinical Trial
背景
僧帽弁逆流症(MR)に対する低侵襲性修復アプローチ(minithoracotomy: MT)の有効性・安全性は。
イギリスJames Cook University HospitalのEnoch Akowuahら(UK Mini Mitral Trial)は、成人MR患者を対象として、MTと標準正中切開術を比較するpragmatic・多施設・優越性RCTを行った。一次アウトカムは、身体機能とそれに伴う通常活動への復帰で、術後12週間でのSF-36 version 2 physical functioning scaleのベースラインからの変化により測定した(n=330)。
結論
両群の一次アウトカムに有意差はなかった。僧房弁修復成功率にも群間差はなかった(約96%)。心エコー検査では、参加者の92%が術後1年時点でMRがないか、あっても軽度で、群間差はなかった。安全性でも差はなかった。
評価
経皮アプローチが汎用される中で立てられた「手術ならどちらが良いのか」という問題に答える、現在までで最も高信頼度の結果である。低侵襲性アプローチが優れる、という仮説を立証することはできなかったが、患者の選好に委ねうるエビデンスとなった。ただし、手技は低侵襲性の方が難しいようである。