二腔リードレスペースメーカー登場
A Dual-Chamber Leadless Pacemaker
背景
右房と右室に通信可能デバイスを経皮的に別個に植え込む二腔リードレスペースメーカー(DCLLP)システムは、ペースメーカーの通常適応に対応できる最適のシステムとなりえる。
オランダAmsterdam UMCのKnopsら(Aveir DR i2i)は、300名の患者を対象として、Abbott社開発のDCLLPシステムの効果・安全性を評価する前向多施設共同単群試験を行った。一次安全性エンドポイントは、90日時点での合併症不在、一次有効性エンドポイントは、3ヵ月時点での適切な心房捕捉閾値・センシング振幅の複合である。
結論
患者のペースメーカー適応は、63.3%が洞結節機能不全(SSS)、33.3%が房室ブロック(AVB)であった。植込みは98.3%で成功した。一次安全性エンドポイントは90.3%で達成され、一次有効性エンドポイントは90.2%で達成された。患者21名でP波振幅が1.0mV未満であったが、デバイス置換は必要なかった。患者の97.3%で房室同期率70%以上を達成した。
評価
従来の単腔リードレスペースメーカーの限界を、 implant-to-implant(i2i)通信テクノロジーで超え、ペースメーカー適応の主対象であるSSS・AVB患者に対し、印象的な有効性・安全性を示した。すでにFDA承認が申請されているが、最低限さらに長期のデータが要求されよう。