イーライリリーの新規「トリプルG」抗肥満薬retatrutideは有望:第2相RCT
Triple-Hormone-Receptor Agonist Retatrutide for Obesity−A Phase 2 Trial
背景
Retatrutideは、イーライリリー社が開発した新規GIP・GLP-1・グルカゴン受容体3重アゴニスト(トリプルG)抗肥満薬である。
アメリカ Yale UniversityのJastreboffらは、肥満患者338名を48週間、週1回のretatrutide皮下注射群とプラセボ皮下注射群に割り付ける第2相RCTを行った。一次エンドポイントは、ベースライン後24週での体重変化率である。
結論
Retatrutideによる有意な体重低減を確認した。ベースライン後24週での平均体重変化率は、用量8mgで-17.3%であった(プラセボ -1.6%)。 5%・10%・15%以上体重が低下した患者の割合は、プラセボ群で各 27%・9%・2%、8 mg群で、各100%・91%・75%であった。実薬群で最も報告が多かった有害イベントは、軽度〜中等度の胃腸障害であり、開始用量が低用量のグループでは部分的に軽減された。また、用量依存的に心拍数増加が観察されたが、24週以降は軽減した。
評価
血糖低下薬の主な用途転換として出発した新規抗肥満薬だが、この「トリプルG」薬は当初から両用目的で開発されており、2型糖尿病への第2相試験も有望である。抗肥満目的での承認は確実とみられるが、長期詳細データを取得すべく113週の大規模第3相試験 TRIUMPH-3が進行している(https://classic.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05882045)。