大気汚染・騒音は脳卒中のリスク
Concomitant exposure to air pollution, green space, and noise and risk of stroke: a cohort study from Denmark
背景
生活環境の緒要因が心血管の健康に与える影響は、さまざなま疫学的調査の対象となっているが、エビデンスは強固とは言えない。
デンマークDanish Cancer Society Research CenterのPoulsenらは、2005年〜2017年に同国に居住していた50歳以上のすべての個人(n=2,048,282)の居住履歴から、各住所の交通およびそれ以外からの微粒子(PM2.5)・超微粒子・元素状炭素・二酸化窒素・住居の各面(ファサード)の道路交通騒音曝露、さらに周辺の運動可能な緑地量を推定、脳卒中との関連を検討した。
結論
18,344,976年のフォローアップ期間で、94,256件の脳卒中があった。単一の汚染物質ごとのモデルでは、いずれの曝露も脳卒中リスクと関連した。複合解析では、PM2.5(ハザード比 1.058)と最も騒音の大きいファサードの騒音(ハザード比 1.033)のみが脳卒中リスクの上昇と関連した。総PM2.5濃度・騒音・緑地を用いたモデルでは、大気汚染と騒音の双方が累積リスク指数(CRI)に関連した(1.103)。
評価
ほぼ同時期に発表されたイギリスUK Biobankデータを用いた研究(https://doi.org/10.1016/j.jchf.2023.04.003)も、騒音・大気汚染と心不全の関連を示唆するなど、近年注目が高まっている疫学的関連だが、個人の詳細な履歴を持つデンマークからのデータも、脳卒中との関連を確認した。広い意味では修飾可能なリスク因子であり、公衆衛生上の課題となる。