心停止患者での全身スキャンは原因の早期特定に有用
Diagnostic yield, safety, and outcomes of Head-to-pelvis sudden death CT imaging in post arrest care: The CT FIRST cohort study

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Resuscitation
年月
July 2023
188
開始ページ
109785

背景

心停止の原因が明らかでない院外心停止(OHCA)患者で、頭部-骨盤CTスキャン(パンスキャン)を行うことは原因の特定に有用か?
アメリカUniversity of WashingtonのBranchらは、蘇生に成功した成人OHCA患者を前向登録し、既知の心筋症・閉塞性冠動脈疾患がない患者で、到着後6時間以内のパンスキャンによる診断特定率を検証する前後研究CT FIRSTを実施した。

結論

標準治療期間(n=143)、パンスキャン追加期間(n=104)の患者背景は類似していた。標準治療期間では52%の患者でCTがオーダーされた。パンスキャン追加期間に、心停止原因の特定率は75%から92%に上昇し、診断までの時間は14.1時間から3.1時間へ、78%短縮された。クリティカルな診断の遅れ(6時間以上)は81%減少した。生存退院率は、コホート間で同等であった。

評価

プロトコル化されたパンスキャンは、心停止原因の特定に有用であった。ただし、診断の改善が患者アウトカムの改善に繋がるかは不明である。外傷患者でのRCTは生存率の改善を示せておらず(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(16)30932-1, http://doi.org/10.1001/jamapediatrics.2018.0109)、心停止患者での有益性にも留保が必要だろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)