個別化mRNAワクチンが切除可能膵がんで有望
Personalized RNA neoantigen vaccines stimulate T cells in pancreatic cancer
背景
膵がんは最も予後の悪いがんの一つであり、治療の革新が待ち望まれているが、免疫療法に対しても抵抗性と考えられている。ただ、最近の研究は、膵管腺がん(PDAC)が従来考えられていたよりも多くのネオアンチゲンを有していることを示しており、ネオアンチゲン標的化の可能性が示唆されている。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのRojasらは、切除可能で5つ以上のネオアンチゲンを有するPDAC患者を登録し、術後の抗PD-L1抗体アテゾリズマブ投与に続いて、外科的に切除されたPDAC腫瘍に基づき個別に作製されたmRNAワクチンautogene cevumeran(RO7198457)を投与(n=16)、さらにmFOLFIRINOX化学療法を行う医師主導第I相臨床試験を実施した。
結論
Autogene cevumeranはベンチマーク時点から3日以内に投与され、忍容性が認められた。16名のうち8名では、新規にネオアンチゲン特異的T細胞応答が誘導されており、うち半数はワクチンのネオアンチゲンを標的としていた。ワクチンにより増加したT細胞は全血中で最大10%を占めた。フォローアップ期間18ヵ月での無再発生存期間は、応答患者(n=8)で中央値未到達、非応答患者(n=8)で13.4ヵ月であった。
評価
報告時点では、ワクチンへの反応がみられた8人全員が再発なしに生存していた。個別化ネオアンチゲンワクチンが大いに有望であることをデータとして示し、他タイプのがんを対象に進行している第2相試験にも期待がかかる。