IDH変異低悪性度グリオーマに経口IDH阻害薬vorasidenib登場:INDIGO
Vorasidenib in IDH1- or IDH2-Mutant Low-Grade Glioma
背景
イソクエン酸脱水素酵素(IDH)遺伝子の変異はグレード2のびまん性神経膠腫の大半に認められ、IDH野生型と比して進行は遅いものの、最終的には侵攻的腫瘍となる。Vorasidenibは、血液脳関門を通過する経口IDH1・IDH2変異二重阻害薬で、神経膠腫患者で予備的な抗腫瘍活性を示している。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのMellinghoffら(INDIGO)は、手術以外の治療歴を持たない残存・再発性のIDH変異グレード2神経膠腫患者を、vorasidenibまたはプラセボへと割り付け、無増悪生存期間およびその他を比較する第3相RCTを実施した(n=331)。
結論
無増悪生存期間中央値は、vorasidenib群で27.7ヵ月、プラセボ群で11.1ヵ月であった(HR 0.39)。後続の介入等までの期間もvorasidenib群で有意に延長した(0.26)。グレード3以上の有害事象は、vorasidenib群の22.8%、プラセボ群の13.5%に発生した。
評価
IDH 1/2に対する標的治療としては初の第3相結果であり、vorasidenibによってPFSが大きく延長されることを実証した。化学療法・放射線治療等の後続治療開始を大きく後倒しすることが可能となり、この患者集団における新たな標準治療となりうる。