乳児心エコー検査における主要左室パラメータの正常範囲を決定
Normative Echocardiographic Left Ventricular Parameters and Reference Intervals in Infants

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
June 2023
81
開始ページ
2175

背景

乳幼児の心エコー検査(UCG)には、現在高信頼度の正常範囲(reference intervals)が存在しておらず、特に左室(LV)パラメータの確定は必須である。
デンマークCopenhagen UniversityのVøggらは、健康新生児13,454名を対に、2次元UCGによるLVの構造・機能測定値の正常範囲とZスコアの決定を報告している。正常範囲は、4つの統計成分のジョイントモデリングにより、10のLVパラメータを体表面積(BSA)の関数としてモデル化した。

結論

参加者のBSA中央値は0.23 m2、検査時の年齢中央値は12.0日であった。乳児の性別による層別化をすることなく、10のLVパラメータの正常範囲とZスコアを決定しえた。ただし、生後7日未満の乳児と生後7日〜30日の乳児については、別々の基準モデルが必要であった。

評価

UCG検査の最弱点であった乳児の正常範囲に関する、現在までで最高信頼度の研究である。単一前向大規模コホートに対し、標準プロトコルで熟練検査技師が画像取得したもので、統計手法も堅牢である。AI利用に際しても訓練基準となりえる。ただし、性別差はみられなかったが、日齢差は確認されており、人種・民族差に関しては未だ不明である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)