乳児心エコー検査における主要左室パラメータの正常範囲を決定
Normative Echocardiographic Left Ventricular Parameters and Reference Intervals in Infants
背景
乳幼児の心エコー検査(UCG)には、現在高信頼度の正常範囲(reference intervals)が存在しておらず、特に左室(LV)パラメータの確定は必須である。
デンマークCopenhagen UniversityのVøggらは、健康新生児13,454名を対に、2次元UCGによるLVの構造・機能測定値の正常範囲とZスコアの決定を報告している。正常範囲は、4つの統計成分のジョイントモデリングにより、10のLVパラメータを体表面積(BSA)の関数としてモデル化した。
結論
参加者のBSA中央値は0.23 m2、検査時の年齢中央値は12.0日であった。乳児の性別による層別化をすることなく、10のLVパラメータの正常範囲とZスコアを決定しえた。ただし、生後7日未満の乳児と生後7日〜30日の乳児については、別々の基準モデルが必要であった。
評価
UCG検査の最弱点であった乳児の正常範囲に関する、現在までで最高信頼度の研究である。単一前向大規模コホートに対し、標準プロトコルで熟練検査技師が画像取得したもので、統計手法も堅牢である。AI利用に際しても訓練基準となりえる。ただし、性別差はみられなかったが、日齢差は確認されており、人種・民族差に関しては未だ不明である。