急性膵炎での積極的輸液は有害か:系統レビュー・メタ解析
Comparison of clinical outcomes between aggressive and non-aggressive intravenous hydration for acute pancreatitis: a systematic review and meta-analysis
背景
急性膵炎の患者では、健常人の必要量を大きく上回る水分が必要とされ、ガイドラインでも積極的輸液療法が「提案」されてきたが、最近行われたランダム化比較試験WATERFALLでは、初期の積極的輸液は膵炎重症化を予防せず、かえって過剰輸液をもたらしたため、試験が早期終了された。
台湾Keelung Chang Gung Memorial HospitalのLiらは、重症・非重症急性膵炎患者を対象に、積極的静脈内輸液と非積極的輸液を比較したRCTを検索し、アウトカムを解析する系統的レビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
9件のRCTが対象となった(n=953)。積極的輸液は重症膵炎患者の死亡リスクを有意に増加させた(プールリスク比 2.45)。非重症膵炎患者では有意ではなかった(2.26)。一方で、積極的輸液は重症膵炎患者と非重症膵炎患者の双方で、輸液関連合併症を増加させた。メタアナリシスでは、重症膵炎患者でAPACHE IIスコアが悪化すること、非重症膵炎患者でも、臨床的改善の可能性を増加させないことが示された。
評価
このメタアナリシスでも、積極的輸液のベネフィットは認められず、重症膵炎の死亡リスクや輸液関連有害事象を増加させることが明らかにされた。急性膵炎に対しては、保守的な輸液プロトコルが推奨されるだろう。