敗血症性ショックの初期治療にメチレンブルー?
Early adjunctive methylene blue in patients with septic shock: a randomized controlled trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Critical Care
年月
March 2023
27
開始ページ
110

背景

メチレンブルーは、一般には魚病薬として知られ、メトヘモグロビン血症の治療で国内承認を受けている薬だが、NO生成に関与する2酵素(iNOS・sGC)の特異的阻害による間接的昇圧作用があるとされ、過去には敗血症性ショックへの効果が検証されたこともある。
メキシコUniversidad de GuadalajaraのIbarra-Estradaらは、敗血症性ショック(Sepsis-3基準)患者をメチレンブルーまたはプラセボへと割り付け、昇圧剤中止までの期間に与える影響を評価する単施設RCTを実施した(n=91)。

結論

メチレンブルー群では昇圧剤中止までの期間が短く(69時間 vs. 94時間)、またICU滞在期間は1.5日、入院期間は2.7日短縮した。人工呼吸器使用日数と死亡率には差はなかった。メチレンブルー投与に関連する重篤な有害作用は認められなかった。

評価

敗血症性ショックではカテコールアミン系昇圧剤が用いられるが、固有の副作用があり、昇圧戦略のマルチモーダル化を模索する動きがある。本RCTは小規模ながら、メチレンブルーが昇圧剤の使用期間を短縮する可能性を示唆し、検証の継続を正当化した。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)