ACC/AHA/HFSAの ガイドライン変更で「プレ心不全」患者が2.7倍増
Effect of 2022 ACC/AHA/HFSA Criteria on Stages of Heart Failure in a Pooled Community Cohort
背景
ACC/AHA/HFSAは2022年に2013年版ACC/AHA心不全ステージ分類を改訂したが、その結果は。
アメリカBeth Israel Deaconess Medical CenterのHoらは、この定義変更による各ステージへの有病率に及ぼした影響を検討した。対象は、3つの縦断コホート(MESA[Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis]、CHS[Cardiovascular Health Study]、FHS[Framingham Heart Study])である(n=11,618)。
結論
2022年版ステージ分類では、16.7%が健康、37.4%がステージA(リスクあり)、43.2%がステージB(プレHF)、2.7%がステージC/D(症候性HF)であった。2013年版分類と比較して、ステージBの患者率が15.9%から2.7倍増し、この変化は主に、女性・ヒスパニック・黒人の増加に偏っていた。このようなステージBの患者増加にもかかわらず、同ステージから症候性HF(ステージC・D)への進行の相対リスクは同等であった(HR 10.61)。
評価
ステージ分類の変更によりステージB(プレ心不全)の患者が3倍弱増加した、という衝撃的な報告である。臨床実践に「高血圧」の定義変更に似たインパクトを与えるもので、「プレ心不全」患者をいかに管理するか、という重要な臨床問題を提起する。