アメリカで、がん診断後にGGT(生殖細胞系列遺伝子検査)を受ける患者は7%未満
Germline Genetic Testing After Cancer Diagnosis
背景
がん患者でのGermline Genetic Testing(生殖細胞系列遺伝子検査:GGT)は、治療の選定や家族のリスク評価に有用であり、現代のガイドラインは、乳がん・卵巣がんをはじめ、膵がん・大腸がんなどの診断を受けたがん患者に対してこれを推奨している。
アメリカStanford UniversityのKurianらは、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)レジストリの、2013年から2019年にカリフォルニア州・ジョージア州でがんと診断された20歳以上の患者を対象として(n=1,369,602)、診断後2年以内にGGTが行われた割合を調査した。
結論
2021年3月までに、6.8%にあたる93,052名が検査を受けた。検査率はがんの種類によって大きく異なり、高い順に男性乳がん(50%)、卵巣がん(38.6%)、女性乳がん(26%)、多発がん(7.5%)、子宮体がん(6.4%)、膵がん(5.6%)、大腸がん(5.6%)、前立腺がん(1.1%)、肺がん(0.3%)となった。また、患者の人種によっても異なり、男性乳がん・女性乳がん・卵巣がんを合わせた検査率は、非ヒスパニック系白人では31%、アジア系で22%、黒人25%、ヒスパニック23%であった。病原性バリアントのうち、67.5%-94.9%はガイドラインによって検査が推奨される遺伝子で、68.3%-83.8%は診断されたがんに関連する遺伝子で同定された。
評価
GGTは唾液で行え簡便で低コストである。ガイドラインで推奨されているにも関わらず、ほとんど実行されていないのは、患者側の要因とともに医療側の要因も強いとみられる。検査へのアプローチを刷新する必要がある。