ACSでの抗血小板療法選択での薬理ゲノムアプローチ
Pharmacogenomic Approach to Selecting Antiplatelet Therapy in Patients With Acute Coronary Syndromes: The PHARMCLO Trial
背景
CYP2C19によるクロピドグレル奏効性のばらつき等の問題により、急性冠症候群(ACS)での抗血小板療法を遺伝子型により個人化することが提唱されている。イタリアAzienda Ospedaliero-Universitaria di ParmaのArdissinoら(PHARMCLO)は、遺伝子型分類ベースと臨床特性ベースの抗血小板療法(クロピドグレル・プラスグレル・チカグレロール)選択の有効性を比較するRCTを行った(n=888)。一次エンドポイントは、心血管死・非致死的MI初発・非致死的脳卒中・大出血である。
結論
一次エンドポイント有効性の明確化のため試験を早期終結した(一次エンドポイント発生率:薬理ゲノム群15.9%、標準治療群25.9%[HR:0.58])。クロピドグレルは標準治療群で、チカグレロールは薬理ゲノム群でより頻繁に使用され、プラスグレルは両群で同等に使用された。
評価
理論的に優れた薬理ゲノムアプローチの優位性をRCTで確認した試験だが、臨床的に個人ごとに組み合わせ・用量を最適化できる施設は少ない。JACC Editorialは、アスピリンへのプラスグレル・チカグレロール併用をデフォルトとするアプローチを検証することを提案している。