担がんVTE患者でのDOACの有効性はヘパリンに劣らない:CANVAS
Direct Oral Anticoagulants vs Low-Molecular-Weight Heparin and Recurrent VTE in Patients With Cancer: A Randomized Clinical Trial
背景
がん患者では静脈血栓塞栓症(VTE)が好発し、VTEを発症した患者では再発を予防するために低分子ヘパリン(LMWH)が推奨されているが、近年行われた複数のRCTは、直接経口抗凝固薬(DOAC)の有効性を示している。
アメリカBrigham and Women's Cancer CenterのSchragら(CANVAS)は、同国67施設の血液がんを含む担がんVTE患者に対してDOACとLMWHを割り付け、6ヵ月後のVTE再発率(一次アウトカム)他のアウトカムについての有効性・非劣性を検証するRCTを実施した(n=671)。
結論
6ヵ月VTE再発率はDOAC群で6.1%、LMWH群で8.8%であり、一次アウトカムで非劣性基準を満たした。6つの事前指定二次アウトカムに、統計的な有意差はなかった。大出血はDOAC群の5.2%、LMWH群の5.6%で発生し、これについては非劣性基準を満たさなかった。
評価
個別薬ではなく、DOACのクラス有効性・非劣性を検証した試験で、DOACがLMWHに対し、VTE再発の予防について非劣性であることを確認した。2022年のASCOでは本試験を含むメタ解析が発表されており(https://doi.org/10.1200/JCO.2022.40.16_suppl.e24070)、担がんVTE患者での有効なオプションとみなされている。