局所進行直腸がんの術前治療で放射線治療は省略可能:PROSPECT
Preoperative Treatment of Locally Advanced Rectal Cancer
背景
局所進行直腸がんに対する術前化学放射線療法は、欧米における標準治療となっているが、放射線治療を省略することで有害事象を回避する術前化学療法も模索されている。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのSchragら(PROSPECT)は、肛門温存が考慮される臨床的T2リンパ節陽性またはT3直腸がん患者を、術前FOLFOX療法群(腫瘍縮小が20%未満または副作用により、FOLFOXが中止された場合には化学放射線療法)または骨盤内照射とフッ化ピリミジンによる術前化学放射線療法群へと割り付ける多施設RCTを実施した(n=1,194)。一次エンドポイントは、、無病生存期間(DFS)である。
結論
DFSのハザード比は0.92で、FOLFOX群の非劣性が示された。5年無病生存率はFOLFOX群80.8%、化学放射線治療群78.6%であった。全生存(HR 1.04)、局所再発(1.18)についても両群は同等であった。FOLFOX群では9.1%が術前に、1.4%が術後に化学放射線療法を受けた。
評価
FOLFOX化学療法のみを行い、奏効がみられない患者で放射線照射を追加する術前治療戦略は、従来の標準治療に非劣性であった。多くの患者で安全に放射線治療が省略可能であることを示し、局所進行直腸がん治療パラダイムの新たな一部となりうる。