スクリーニングで発見された妊娠糖尿病患者には即治療開始?
Treatment of Gestational Diabetes Mellitus Diagnosed Early in Pregnancy
背景
妊娠糖尿病(GDM)の早期スクリーニングが勧められているが、同定された患者を20週前に治療開始することにメリットはあるか。
オーストラリアWestern Sydney UniversityのSimmonらは、GDM診断を受けた妊娠4週〜19週6日までの女性802名を対象として、これを検証するRCTを行った。患者を、即治療群と妊娠24〜28週でのOGTTの結果により、治療実施の有無を決定する待機コントロール群に割り付けた。一次アウトカムは、新生児の有害アウトカム(妊娠37週未満での出生、呼吸窮迫、死産/新生児死亡等)の複合・妊娠関連高血圧・新生児除脂肪体重である。
結論
新生児の有害アウトカムはコントロールと比べ、即治療群で少なかった(24.9% vs. 30.5%, 調整リスク差 −5.6%)。妊娠関連高血圧発生(10.6% vs. 9.9%, 0.7%)・平均新生児除脂肪体重(2.86 kg vs. 2.91 kg)に群間差はなく、重大有害イベント発生にも群間差はなかった。
評価
特にDM高リスク妊婦には、妊娠第2期でのスクリーニングは普遍的推奨だが、早期介入には推奨派と消極派があり、RCTで決するしかなかった。結果は微妙で、NEJM Editorialは、「早期治療にベネフィットは少なく、推奨は疑問」と、消極的見解を表明している。