脳梗塞での血栓溶解薬、tenecteplaseは脳内出血の減少と関連:CERTAIN研究
Symptomatic Intracranial Hemorrhage With Tenecteplase vs Alteplase in Patients With Acute Ischemic Stroke: The Comparative Effectiveness of Routine Tenecteplase vs Alteplase in Acute Ischemic Stroke (CERTAIN) Collaboration

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Neurology
年月
May 2023
Online first
開始ページ
Online first

背景

Tenecteplaseは単回のボーラス投与により治療可能なrt-PA血栓溶解薬であり、EXTEND-IA TNK試験、AcT試験、TRACE-2試験などで非劣性を示し、世界的にアルテプラーゼからの代替が始まっている。
アメリカUniversity of Texas at AustinのWarachらは、Comparative Effectiveness of Routine Tenecteplase vs Alteplase in Acute Ischemic Stroke(CERTAIN)コラボレーションに参加したニュージーランド・オーストラリア・アメリカの100施設以上で、2018年から2021年に静脈内血栓溶解療法を受けた脳梗塞患者(n=9,238)のデータを後向解析し、tenecteplaseによる治療と症候性頭蓋内出血(sICH)リスクとの関連を検討した。

結論

Tenecteplaseは1,925名に投与された。Tenecteplase群の患者は、アルテプラーゼ群と比べ、やや高齢で、NIHSSスコアが高く(中央値, 9 vs. 7)、血栓除去を受けた患者が多かった(38% vs. 20%)。sICH発症率は、tenecteplase群で1.8%、アルテプラーゼ群で3.6%と、tenecteplase群で低かった(調整オッズ比 0.42)。血栓除去の有無によるサブグループ間で結果は変わらなかった。

評価

過去のRCTからは、sICHについてのtenecteplaseの利点は報告されていないが、この後向解析では、tenecteplaseがsICHリスクを半減させることが示唆された。Tenecteplaseの導入をさらに後押しするエビデンスとなりうる。同薬は日本では開発されておらず、医師主導によるT-FLAVOR試験が行われているが、2023年現在、世界的な需給逼迫により試験の進行が危ぶまれている(https://readyfor.jp/projects/tflavor)。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)