ホルモン療法抵抗性乳がんへのcapivasertib+フルベストラントでPFS延長:CAPItello-291
Capivasertib in Hormone Receptor-Positive Advanced Breast Cancer
背景
AKTはPI3K/AKT/PTENシグナル経路で中心的役割を果たし、乳がん患者の内分泌療法への抵抗性に関連している。新たな経口AKT阻害薬capivasertibは、アロマターゼ阻害薬(AI)治療後に再発・進行した切除不能乳がん患者を対象とした第2相FAKTION試験において、フルベストラントへの追加でベネフィットを示している。
イギリスInstitute of Cancer ResearchのTurnerらは、HR陽性・HER2陰性の進行乳がん患者を対象に、capivasertib+フルベストラントとプラセボ+フルベストラントを比較する第3相RCT、CAPItello-291を実施した(n=708)。一次エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)である。
結論
40.8%がAKT経路の変異を有し、69.1%がCDK4/6阻害薬による治療歴を有した。試験集団全体のPFS中央値は、capivasertib群で7.2ヵ月、プラセボ群で3.6ヵ月であった(HR 0.60)。AKT変異集団においては、capivasertib群7.3ヵ月、プラセボ群で3.1ヵ月であった(0.50)。Capivasertibで多くみられたグレード3以上の有害事象として、発疹と下痢があった。中止を要する有害事象はcapivasertib群の13.0%、プラセボ群の2.3%で発生した。
評価
Capivasertib+フルベストラント併用の一次エンドポイント効果を確認し、さらに試験集団全体では全生存期間も有意に改善した。PI3K/AKT/PTEN経路の標的化としては、PI3K阻害薬alpelisibがFDA承認を受けており、これにcapivasertibも加わることになる。特にCDK4/6阻害薬投与後に進行した患者にとって貴重な選択肢となる。