アメリカ成人心臓移植レシピエントの順位化に問題
Geographic Variation in the Treatment of U.S. Adult Heart Transplant Candidates
背景
アメリカの心臓移植には臓器不足をはじめとして多くの問題があるが、レシピエントの優先順位の決定法に関しても問題がある。University of ChicagoのParkerらは、SRTRレジストリ2010〜2015年データに基づき、移植レシピエント決定の地域間差を分析することにより、成人心臓移植レシピエント順位決定の予測因子を同定することを試みた(n=12,762)。
結論
11.6%の患者が、高用量アイノトロープまたは大動脈内バルーンポンプで、おそらく過剰治療されていた(最高‐最低四分位間の差:25.5%)。このような分位間差は、候補者間の様々なパラメーターの調整後も変わらなかった。さらに、地域内施設間競争の存在は潜在的過剰治療のオッズを50%増加させていた。
評価
ここでの「おそらく過剰治療(potential overtreatment)」の定義は、AHAの心原性ショックの基準を満たしていない、ということである。「重症度」基準が、優先順位を上げるために不適応患者を過剰治療する(さらには移植成績を人為的に上げる)という有害帰結を持つことに警鐘を鳴らした研究で、すでに地域間アロケーション法の改善に繋がりつつある。