サクビトリル/バルサルタンはHFrEFのT2D患者に腎保護的
Effect of neprilysin inhibition on renal function in patients with type 2 diabetes and chronic heart failure who are receiving target doses of inhibitors of the renin-angiotensin system: a secondary analysis of the PARADIGM-HF trial
背景
PARADIGM-HFは、HFrEF患者に対するネプリライシン阻害薬(+ARB)の効果を示した。同試験のPackerら(Baylor University)は、同試験の2次解析により、ネプリライシン阻害薬サクビトリルの2型糖尿病(T2D)HFrEF患者への(特に腎機能への)効果を検討した(n=8,399)。
結論
eGFR低下速度は対照非DM群において1.1mL/min/1.73m^2/年、T2D群で2.0mL/min/1.73m^2/年であった。エナラプリル群と比較して、サクビトリル/バルサルタン群ではeGFR低下速度が遅く(-1.3 vs -1.8mL/min/1.73m^2/年)、その有効性規模はT2D群で対照群より大きかった。ただし、T2D群に対するサクビトリル/バルサルタンの有効性は、eGFR変化を尿中cGMPで補正した後には非有意となった。
評価
著者らはこの効果がHFやHbA1cへの効果では説明できないとしている。DMにおける腎機能障害にはcGMPシグナルが関与するとされているが、cGMPレベルによるeGFR補正の影響はこれと関連するとみられる。