AFを伴う急性脳梗塞への早期DOACは安全:ELAN試験
Early versus Later Anticoagulation for Stroke with Atrial Fibrillation
背景
心房細動(AF)を伴う脳梗塞の急性期に対して、直接経口抗凝固薬(DOAC)による抗凝固療法を行うことで再発を予防できるか。早期での使用は出血リスクを増大させる可能性があり、DOAC開始の適切なタイミングについてのエビデンスが望まれていた。
スイスUniversity of BaselのFischerらは、15ヵ国103施設の非弁膜症性AFに由来する脳梗塞患者を、minorまたはmoderateな梗塞では48時間以内、majorな梗塞では6-7日以内にDOACを投与する早期抗凝固療法群、minorな梗塞では3-4日、moderateでは6-7日、majorでは12-14日にDOACを投与する後期抗凝固療法群へと割り付ける医師主導型ランダム化比較試験ELANを実施した(n=2,013)。
結論
37%がminor、40%がmoderate、23%がmajorな梗塞であった。ランダム化後30日以内の複合一次アウトカム率(脳梗塞再発・全身性塞栓症・重大頭蓋外出血・症候性頭蓋内出血・血管原因死亡)は、早期抗凝固群2.9%、後期抗凝固群4.1%であった。このうち、脳梗塞の再発は各群1.4%、2.5%で発生した(オッズ比 0.57)。症候性頭蓋内出血は各群とも2名で発生した。
評価
AHAのガイドラインでは1-3-6-12日ルールが推奨される一方、より早いタイミングでの投与も模索されており、日本からは1-2-3-4日ルールが提案されていた(https://doi.org/10.1161/STROKEAHA.121.036695)。TIMING試験(https://doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.122.060666)に続く本試験は、早期DOCA療法が安全であり、おそらく、より有益である可能性も示唆した。同テーマでは、OPTIMAS試験(NCT03759938)やSTART試験(NCT03021928)も進行中である。