エンパグリフロジンの心不全有益性はCKDのスぺクトラムを超える
Efficacy of Empagliflozin in Patients With Heart Failure Across Kidney Risk Categories
背景
EMPEROR-Reduced・EMPEROR-Preservedは、エンパグリフロジンの駆出率低下・維持心不全への有益性を示した。
同試験のアメリカButlerら(Baylor Scott and White Research Institute)は、慢性腎臓病(CKD)スペクトラム各域に応じたエンパグリフロジンの効果を評価する二次解析を行った。患者をKDIGOカテゴリーに基づき、CKD低・中・高・超高リスクに分類した。
結論
エンパグリフロジンは、KDIGO全カテゴリーにおいて、心血管死・心不全入院のリスクを低減した(HR 0.81[低リスク], 0.63[中リスク], 0.82[高リスク], 0.84[超高リスク])。また、エンパグリフロジンは、eGFRの低下率(スロープ)を全群で低減した。EMPEROR-Reducedでは、最低リスク患者がエンパグリフロジンのeGFR勾配に対する効果が最大だった、パターンは、EMPEROR-Preservedではみられなかった。
評価
本質的に同様の結果が EMPA‐KIDNEYから報告されており(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2204233)、この論文は、HFrEFでもHFpEFでも同様に有益であるとの指摘以外は追認である。方法論において、同薬の急性効果から独立したeGFRの正味の( unconfounded )勾配を推定する手法を示していることが新規点である。