3つの生殖系列変異が対側乳がんリスクを2〜3倍に高める
Contralateral Breast Cancer Risk Among Carriers of Germline Pathogenic Variants in ATM, BRCA1, BRCA2, CHEK2, and PALB2
背景
乳がん患者の0.5%では二次性がんとして対側乳がんが発症するが、BRCAやCHEK2などの生殖細胞系列病的バリアント(PV)はこのリスクにどのように関連するのか。
アメリカMayo ClinicのYadavらは、浸潤性乳がんに対して同側乳房切除を受け、前向のフォローアップを受けたCARRIERS study参加女性(n=15,104)において、ATM・BRCA1・BRCA2・CHEK2・PALB2の生殖細胞系列PVと対側乳がんリスクとの関連を検討した。
結論
生殖細胞系列PVのキャリアでは、BRCA1(ハザード比 2.7)、BRCA2(3.0)、CHEK2(1.9)のキャリアで有意な対側乳がんリスクの上昇がみられた。PALB2キャリアではER陰性患者でのみリスクは上昇した(2.9)。ATMキャリアではリスクの上昇はみられなかった。閉経前女性の10年累積対側乳がんリスクは、BRCA1キャリアで33%、BRCA2キャリアで27%、CHEK2キャリアでは13%、ER陰性のPALB2キャリアでは35%と推定された。閉経後女性の10年リスクは、BRCA1キャリアで12%、BRCA2キャリアで9%、CHEK2キャリアでは4%であった。
評価
BRCA1/2およびCHEK2のPVを保持する女性では、対側乳がんリスクが大きく高まることを明らかにした。高強度のスクリーニングや予防的対側乳房切除術を考慮すべき集団である。

