3つの生殖系列変異が対側乳がんリスクを2〜3倍に高める
Contralateral Breast Cancer Risk Among Carriers of Germline Pathogenic Variants in ATM, BRCA1, BRCA2, CHEK2, and PALB2

カテゴリー
がん
ジャーナル名
Journal of Clinical Oncology
年月
March 2023
41
開始ページ
1703

背景

乳がん患者の0.5%では二次性がんとして対側乳がんが発症するが、BRCAやCHEK2などの生殖細胞系列病的バリアント(PV)はこのリスクにどのように関連するのか。
アメリカMayo ClinicのYadavらは、浸潤性乳がんに対して同側乳房切除を受け、前向のフォローアップを受けたCARRIERS study参加女性(n=15,104)において、ATM・BRCA1・BRCA2・CHEK2・PALB2の生殖細胞系列PVと対側乳がんリスクとの関連を検討した。

結論

生殖細胞系列PVのキャリアでは、BRCA1(ハザード比 2.7)、BRCA2(3.0)、CHEK2(1.9)のキャリアで有意な対側乳がんリスクの上昇がみられた。PALB2キャリアではER陰性患者でのみリスクは上昇した(2.9)。ATMキャリアではリスクの上昇はみられなかった。閉経前女性の10年累積対側乳がんリスクは、BRCA1キャリアで33%、BRCA2キャリアで27%、CHEK2キャリアでは13%、ER陰性のPALB2キャリアでは35%と推定された。閉経後女性の10年リスクは、BRCA1キャリアで12%、BRCA2キャリアで9%、CHEK2キャリアでは4%であった。

評価

BRCA1/2およびCHEK2のPVを保持する女性では、対側乳がんリスクが大きく高まることを明らかにした。高強度のスクリーニングや予防的対側乳房切除術を考慮すべき集団である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)