外傷患者での輸血成分比は、輸血量が増えるほど重要になる?
Balanced blood component resuscitation in trauma: Does it matter equally at different transfusion volumes?
背景
外傷患者の輸血戦略において、バランスのとれた血液成分輸血がアウトカムの改善をもたらすのではないかと検証が行われてきたが、結果は一致しない。
アメリカMassachusetts General HospitalのDorken-Gallastegiらは、American College of Surgeons Trauma Quality Improvement Programデータベースで2013年から2018年に4時間以内に6単位以上の赤血球(RBC)、1単位以上の血小板(PC)および新鮮凍結血漿(FFP)を受けた成人患者を、RBC輸血量に基づき4つのコホートに分割し、RBC:FFPまたはRBC:PCと4時間死亡率との関連に、RBC輸血量が与える影響を検討した(n=14,549)。
結論
6-10単位のRBC投与を受けた患者では、RBC:PC比は4時間死亡率と関連せず、4を超えるRBC:FFP比だけが、1の場合と比して高い4時間死亡率と関連した。一方、RBCが10単位を超えた患者では、RBC:PC比およびRBC:FFP比の増加は、一貫して高い4時間死亡率と関連した。一例として、RBC:PC≧4の場合の、=1の場合と比べたオッズ比は、11-15単位で2.27、16-20単位で3.32、21単位以上で3.01であった。
評価
PROPPR試験(https://doi.org/10.1001/jama.2015.12)では、いくつかのアウトカムについて1:1:1の輸血比が優ったが、死亡率への効果は示せていなかった。本研究は、輸血成分比のバランスが重要なのは、RBCが10単位を超えるような患者に限られる可能性を示唆した。