変性性MRに対するTEERは有益:最大のリアルワールドデータ
Transcatheter Mitral Valve Repair for Degenerative Mitral Regurgitation

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
May 2023
329
開始ページ
1778

背景

症候性の変性性僧帽弁逆流(DMR)への経カテーテルEdge-to-edge修復術(TEER)のために2デバイス(MitraClip・Pascal)が承認されているが、そのアウトカムは。
アメリカCedars-Sinai Medical CenterのMakkarらは、2014~2022年に米国でDMRに対する非緊急経カテーテル僧帽弁修復術を受けたSTS/ACC 経カテーテル弁治療レジストリ登録患者19,088名を対象とするコホート研究を行った。一次アウトカムは、MR治療成功(MR残存が中等度以下で平均僧帽弁勾配が10mmHg未満)。

結論

TEERの成功率は88.9%であった。30 日後死亡率は 2.7%、脳卒中は 1.2%、僧帽弁再介入は 0.97% であった。TEER成功は失敗と比較して、1 年後死亡率(HR 0.49)と心不全再入院(0.47)の著減と関連した。成功例中死亡率が最も低かったのは、残存MR軽度以下と平均僧帽弁勾配5mmHg以下を両有する患者であった。

評価

最新のMitraClipデータの報告で、リアルワールドデータとしては最大である。90%という好成績を示し、さらに、成功率は次第に上がってきているとしている。手法の標準化を支持するデータだが、外科側からの批判、デバイス間の優劣など未だ論点は残っており、評価の収束には、なお一定の時間がかかるとみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)