C. pneumoniae感染と脂質異常は動脈硬化シグナルを共有する
Chlamydia and Lipids Engage a Common Signaling Pathway That Promotes Atherogenesis
背景
アテローム性動脈硬化症(AtS)の病態形成において酸化脂質への自然免疫反応の重要性が注目されており、この過程の中心となるのはToll-like受容体4(TLR4)・骨髄分化因子88(MyD88)シグナル伝達系であることが示唆されている。Cedars-Sinai Medical CenterのArditiらは、マウスモデルを用いて、Clamydia pneumoniae(CP)感染の骨髄造血細胞系・非骨髄間質細胞系における同シグナル伝達系に対する効果を検討した。
結論
Apoe-/-のキメラマウスおよびTLR4/MyD88欠損マウス実験により、血中脂質異常とCP感染がともに骨髄由来造血細胞・間質細胞両系におけるTLR4/MyD88系を介してAtSを促進すること、およびCD11c+樹状細胞におけるMyD88の重要性が明らかとなった。CP感染は、TLR4/MyD88陽性マウスではAtSが著しく加速したが、TLR4/MyD88欠損マウスではその効果はミニマムであった。
評価
炎症ストレスと代謝ストレスは共有するシグナリング系を介してAtSを導く、という主流化しつつある仮説を支持するマウスレベル研究である。他方、炎症抑制でAtSを軽減できる、という仮説による臨床研究はネガティブ結果が多く(https://jamanetwork.com/journals/jamacardiology/fullarticle/2525429)、臨床への架橋は今後の課題である。