世界の心不全の現況をレポート:G-CHF
Global Variations in Heart Failure Etiology, Management, and Outcomes
背景
心不全(HF)の病因・治療・転帰には、グローバルな高水準データがない。
G-CHF Investigatorsは、40ヵ国23,341名の参加者を対象に、4つの所得層グループ(高所得国・高中所得国・低中所得国・低所得国)での心不全の病因・治療・アウトカムの差異を検討する多国籍レジストリ研究を行った(追跡期間中央値 2.0年)。一次アウトカム・指標は、HF原因・HF治療薬使用・入院・死亡である。
結論
HFの最も一般的な原因は、虚血性心疾患(38.1%)・高血圧(20.2%)であった。HFrEFの患者の半数がガイドライン基準薬を併用していたが、低中所得国(45.7%)・低所得国(39.5%)で使用率が低かった。死亡率は、高所得国と比較して低中所得国・低所得国で2倍以上であった(100人年あたり年齢・性別標準化死亡率:高所得国 7.8,高中所得国 9.3,低中所得国 15.7,低所得国 19.1)。低所得国では、入院より死亡の頻度が高く、入院者死亡の短期リスクは、高所得国と比較して低中所得国・低所得国で3〜5倍高かった。
評価
カナダが中心となり2020に立ち上がったレジストリ研究である(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32679282/)。散発的な報告を再確認する結果で 低所得国の心不全患者は入院より死亡の頻度が高い、という注目すべき事態を示した。さらなる長期調査と対象患者の拡大が期待される。


