低流量・低圧較差大動脈狭窄症患者へのTAVRは有益?
Transcatheter Aortic Valve Replacement in Patients With Low-Flow, Low-Gradient Aortic Stenosis: The TOPAS-TAVI Registry
背景
低流量・低圧較差大動脈狭窄症(LFLG-AS)患者へのTAVR治療は有益か。また、同患者へのTAVR前ドブタミン負荷心エコー検査(DSB)は有用か。カナダLaval UniversityのRodes-Cabauらは、TOPAS-TAVI レジストリ登録患者のデータを基にこの問題を検討した(n=287)。
結論
対象集団のSTSスコア中央値は7.7%、平均LVEF30.1%、平均圧較差25.4mmHgであった。DSE施行患者の45%には収縮予備能があった。30日・2年死亡率は各3.8%・32.3%であった。全死因死亡率と関連したのは、COPD・低ヘモグロビン値であった。低ヘモグロビン値とTAVR後の中等〜重度の大動脈弁逆流が、死亡・心不全再入院を予測した。LVEFは1年で8.3%増加した。ベースラインDSEでの収縮予備能の欠如は、TAVR後の臨床アウトカム・LVEF低下と関連していなかった。
評価
この集団に対するTAVRがSAVRより優れているかどうか、という基本的な問題に関する相当な規模の観察データである。DSEによる収縮予備能低下患者でSAVRが有益でないことを示した従来結果に対し、TAVRアウトカムがDSEの結果によらないことを示唆して、TAVR選好的な結果を出した。ただし、ここでの結論は、例えば長期死亡率の高さにみられるように、TAVR技法の最近の変化は反映していない。