デクスメデトミジン鎮静はICU患者のAFリスク低下と関連
Association of Dexmedetomidine With New-Onset Atrial Fibrillation in Patients With Critical Illness
背景
デクスメデトミジンは重症患者で頻用される鎮静薬であるが、交感神経抑制・炎症抑制などの特性から心房細動の発生を抑制するのではないかと目されている。
韓国Seoul National University Bundang HospitalのSongらは、2008年から2019年にアメリカBeth Israel Deaconess Medical CenterのICUに入室した成人患者での傾向スコアマッチング研究を実施し、デクスメデトミジンへの曝露と新規発症心房細動との関連を調査した(n=22,237)。
結論
8,015名の重症患者が、デクスメデトミジン曝露の有無により1:3でマッチングされた。デクスメデトミジンの使用は、新規発症心房細動のリスク低下と関連した(17.6% vs. 22.4%, ハザード比 0.80)。デクスメデトミジン群の患者は、ICU滞在期間(中央値4.0日 vs. 3.5日)、入院期間(中央値10.0日 vs. 8.8日)が長かった一方、デクスメデトミジンは低い院内死亡率と関連した(6.3% vs. 12.8%, ハザード比 0.43)。
評価
デクスメデトミジンのAF抑制的な特性は、特にAFリスクの高い心臓手術セッティングで研究されており、2020年のDECADE試験は否定的な結論を下している。本研究は、ICU鎮静患者でこの仮説を再検するもので、デクスメデトミジン使用とAF・死亡リスク低下との関連を明らかにした。前向検証が必要とされている。