急性硬膜下血腫では開頭血腫除去術か減圧開頭術か:RESCUE-ASDH試験
Decompressive Craniectomy versus Craniotomy for Acute Subdural Hematoma

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2023
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背景

外傷による急性硬膜下血腫では、開頭血腫除去術(craniotomy)または減圧開頭術(外減圧術, decompressive craniectomy)が行われることが多い。減圧開頭術は頭蓋内圧亢進を防ぐことができるが、アウトカムへの影響は確立されていない。
イギリスAddenbrooke's HospitalのHutchinsonらは、外傷性急性硬膜下血腫の手術を受ける患者(切除径11 cm以上)を、開頭血腫除去術または減圧開頭術へと割り付け、12ヵ月後のExtended Glasgow Outcome Scale(GOSE)を比較するランダム化比較試験RESCUE-ASDHを実施した(n=450)。

結論

12ヵ月後のGOSEレーティングの共通オッズ比は0.85であり(非有意)、6ヵ月後についても同様であった。12ヵ月死亡率は開頭血腫除去術群で30.2%、減圧開頭術群で32.2%、植物状態率は各2.3%、2.8%であった。生活復帰率は25.6%、19.9%であった。ランダム化から2週間以内の追加手術は、開頭血腫除去術群の14.6%、減圧開頭術群の6.9%で必要となった。創部合併症は開頭血腫除去術群の3.9%、減圧開頭術群の12.2%で発生した。

評価

閉頭時に骨弁を還納しても、還納しない外減圧術を行っても、GOSEおよびQOLアウトカムは同様であった。外減圧術では、その後の頭蓋形成術が必要であるため、顕著な腫脹がみられない場合には開頭血腫除去術を行うのが合理的であろう。

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取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)