良性疾患での子宮摘出時に卵巣は温存すべきか
Long-Term Health Consequences After Ovarian Removal at Benign Hysterectomy: A Nationwide Cohort Study
背景
良性疾患で子宮摘出術を行う場合、同時に両側卵巣摘出術(BSO)を行うことで将来の卵巣がんを予防することができるが、心血管疾患(CVD)のリスク増加という問題もある。
デンマークDanish Cancer Society Research CenterのGottschauらは、デンマークの集団コホートにおいて、1977年から2017年に成人であった女性のデータを用い、良性疾患に対する子宮摘出術と同時のBSO実施が長期アウトカムに与える影響を評価した(n=142,985)。
結論
BSOを受けていない女性(n=120,011)と比較して、45歳未満でBSOを受けた女性は、10年累積のCVD入院リスクが高かった(リスク差 1.19%)。BSOを受けた女性では、45〜54歳(リスク差 0.73)、55〜64歳(1.92)、65歳以上(2.54)の各年代でがんリスクが高かった。さらにBSOを受けた女性では、すべての年齢層で10年死亡率が高い傾向にあり、45〜54歳では有意であった。
評価
このリアルワールドデータは、BSOがCVDリスク・がんリスクを増加させる可能性を示唆した。卵巣がんリスク因子を有さない患者では、卵巣温存が基本とされるべきであろう。