CLDN18.2抗体zolbetuximabの追加で進行胃がんの死亡リスク減:SPOTLIGHT試験
Zolbetuximab plus mFOLFOX6 in patients with CLDN18.2-positive, HER2-negative, untreated, locally advanced unresectable or metastatic gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (SPOTLIGHT): a multicentre, randomised, double-blind, phase 3 trial
背景
Claudin(CLDN)ファミリー、CLDN18.2は細胞間接着に関わる膜蛋白質であるが、多くの癌種で発現していることから、治療標的として注目されている。
日本National Cancer Center Hospital East(国立がん研究センター東病院)のShitaraらは、世界20ヵ国215施設のCLDN18.2陽性かつHER2陰性の局所進行切除不能、または転移性胃がん・食道胃接合部がん患者を、mFOLFOX6+CLDN18.2モノクローナル抗体zolbetuximab、またはmFOLFOX6+プラセボへと割り付ける第3相多国籍ランダム化比較試験SPOTLIGHTを実施した(n=565)。
結論
無増悪生存期間は、zolbetuximab群で中央値10.61ヵ月、プラセボ群で8.67ヵ月であった。また、zolbetuximabは死亡リスクを有意に低下させた(ハザード比 0.75)。治療下発現有害事象(グレード3以上)は、zolbetuximab群の87%、プラセボ群の78%で発生した。
評価
CLDNは京都大学が初めて報告したタイトジャンクション膜タンパク質であり、zolbetuximabはCLDN18.2を標的とするファースト・イン・クラスのCLDN抗体である。PFS・OSのベネフィットを認めた本試験の結果は、CLDN18.2が意味のある治療標的であることを示す。他の薬剤との併用も検証が進んでいる(NCT03505320)。