BMI指標での「肥満のパラドックス」は交絡因子の影響
The impact of confounding on the associations of different adiposity measures with the incidence of cardiovascular disease: a cohort study of 296 535 adults of white European descent
背景
「肥満のパラドックス」に関する混乱の一因に、BMIの肥満尺度としての意義の問題がある。英University of GlasgowのIliodromitiらは、UK biobank登録者における身体組成5尺度(BMI・胴囲・WHR・WHtR・BFP)と心血管疾患(CVD)の関連を調査した(n=296,535)。一次アウトカムは致死的・非致死的CVD事象である。
結論
CVDリスクは低BMI(≦18.5kgm^-2)で高く、BMI 22〜23kgm^-2で最低となり、それを超えると再び高まった。このようなJ字型連関は、併存疾患を有する参加者を除外したときに減弱した。これと対照的に、他の肥満尺度とCVDリスクの関連性はよりリニアであった。胴囲1SD増のHRは女性で1.16、男性で1.10であり、他3指標も類似的であった。
評価
「肥満のパラドックス」がBMIの尺度としての不完全性に起因する、という主流化してきている見方をUK biobankのビッグデータで確定的なものにした。最も研究の進んだCVDアウトカムでの結果だが、他分野で散見される同パラドックスも同様な原因である可能性がある。


