女性はスポーツ中の心停止が男性の1/10以下
Incidence of Cardiac Arrest During Sports Among Women in the European Union
背景
スポーツ参加者に占める女性の割合は近年大きく上昇したが、女性のスポーツ中に発生する心停止に関してはデータが乏しい。
フランスUniversite Paris CiteのWeizmanらは、突然の心停止(SCA)を前向かつ全例的に収集するヨーロッパ3地域のレジストリ(SDEC・ARREST・SRCR)のデータを解析し、女性におけるスポーツ中〜終了後1時間以内のSCAの、発症率・特徴・アウトカムを評価した。
結論
2006年から2017年に発生した34,826件のSCAのうち、スポーツ関連のものは760件(2.2%)であり、うち54件が女性であった。スポーツ関連SCAの年間平均発生率は、レジストリごとに人口100万人あたり0.10〜0.38人の範囲であった。全体での年間平均発生率は、女性で100万人あたり0.19人、男性で2.63人と、10倍以上の差があった。ヨーロッパ全体では女性で年間98件、男性で1.350件のスポーツ関連SCAが発生すると推定された。SCAの特徴および発生状況に男女間で差はなく、バイスタンダーの対応や、その後の臨床アウトカムにも差はなかった。
評価
スポーツ関連の心停止発生率には、男女間で実に10倍以上の差がみられた。構造的心疾患・不整脈といった基礎的病因の他に、平時の運動量、心停止発生時の運動強度、コンタクトスポーツへの参加の割合など、原因はさまざまに考えられるが、本研究から知りうることは少ない。AHAが推奨する競技参加前のスクリーニングは、この問題についてのあり得るアプローチの一つだろう。