進行がん患者の「心臓衰弱」の指標はLVmass/height2
Clinical and Prognostic Relevance of Cardiac Wasting in Patients With Advanced Cancer
背景
がん患者における心機能障害(「心臓衰弱」)は、「がん悪液質」の基幹であるとみられる。
ドイツGerman Heart Center ChariteのAnkerらは、活動性進行癌だが重大な心血管疾患や感染症がない患者300名を健常対照者60名・心不全患者60名と比較する前向ケース・コントロール研究を行った。
結論
がん患者は、健常対照者・心不全患者よりLVmassが少なかった(各177g vs. 203g vs. 300g)。LVmassは、悪液質を伴うがん患者で最も低く、心毒性抗がん薬治療とは無関係であった。
さらなる進行(122日)後の2回目検査では、LVmassはさらに9.3%減少した。心衰弱は一回拍出量の減少によるもので、安静時心拍数は時間経過とともに増加した。1年全死因死亡率は43%であった。LVmass/身長の2乗(height2)は、独立予後マーカーであったが、LVマス/体表面積(BSA)はそうでなかった。
評価
この問題をテーマとして追及しているグループによる最新報告で、前向ケースコントロール研究により、以前の後向分析結果(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29154433/)を上書き・拡張した。LVmass/BSAでなく、LVmass/height2を予後指標と提案した点が新しい。