ICU患者の院内血流感染の実態を国際調査:EUROBACT-2研究
Epidemiology and outcomes of hospital-acquired bloodstream infections in intensive care unit patients: the EUROBACT-2 international cohort study
背景
重症患者では医療関連血流感染症のリスクが高く、発症後の死亡率も高い。
オーストラリアRedcliffe HospitalのTabahらによるEUROBACT-2研究は、2019年6月から2021年2月までの期間、世界のICUにおける院内発症血流感染症(HA-BSI)の実態を調査するために実施された国際前向コホート研究であった。
結論
世界52ヵ国、333のICUから2,600名の成人HA-BSI患者が対象となった。HA-BSIの78%はICUでの発症であった。HA-BSI診断時のSOFAスコアは中央値8であった。感染源としては肺炎(26.7%)、血管内カテーテル(26.4%)が多く、病原体はグラム陰性菌が主で(59.0%)、クレブシエラ属(27.9%)・アシネトバクター属(20.3%)・大腸菌(15.8%)・シュードモナス属(14.3%)などが占め、それぞれのカルバペネム耐性の割合は37.8%・84.6%・7.4%・33.2%であった。治療困難な耐性(difficult-to-treat)は23.5%、全薬剤への(pandrug)耐性は1.5%であった。51.5%で、サンプリングから24時間以内に適切な抗菌薬治療が開始された。感染源制御は52.5%で必要となったが、18.2%では達成されなかった。死亡率は37.1%で、28日生存退院率はわずか16.1%に過ぎなかった。
評価
ヨーロッパを中心とした国際的疫学調査で、HA-BSIの多くがグラム陰性菌によるものであり、カルバペネム耐性・治療困難な耐性のために、適切な抗菌薬治療が遅れがちであること、死亡率が極めて高いことを明らかにした。本研究はコロナパンデミック下で行われたが、COVID-19患者については別に報告を行っている(https://doi.org/10.1186/s13054-022-04166-y)。