早期乳がん化学療法では同時アントラサイクリン+タキサンが最も有効:メタ解析
Anthracycline-containing and taxane-containing chemotherapy for early-stage operable breast cancer: a patient-level meta-analysis of 100,000 women from 86 randomised trials
背景
アントラサイクリン系・タキサン系薬剤を用いたレジメンは、早期乳がんの術前・術後化学療法として有効であるが、アントラサイクリン系の有無を含め、最良のレジメンは未だ明らかではない。
イギリスを中心とした国際的コラボレーションであるEarly Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group(EBCTCG)は、アントラサイクリン系の有無について、タキサン系レジメンの比較を行ったランダム化比較試験を対象に、患者レベルのメタアナリシスを実施した。
結論
タキサン系レジメンについて、15件の試験から患者データが提供された(n=18,103)。アントラサイクリン系を含むタキサン系レジメンは、含まないレジメンに比して再発率が低かった(率比 0.86)。治療した700名あたり1件の急性骨髄性白血病の発症があった。アントラサイクリンの効果は、ドセタキセル+シクロホスファミドに追加した場合に最も大きかった(10年再発リスク 12.3% vs. 21.0%)。ただし、タキサン・アントラサイクリンの順次投与は、ドセタキセル+シクロホスファミドと比して再発リスクを低下させなかった(率比 0.94)。アントラサイクリン系レジメンについては、35試験から患者データが提供された(n=52,976)。タキサン系の追加は、非タキサン系を増加させた場合と比べて、再発を有意に抑制した(率比 0.87 vs. 0.96)。アントラサイクリン系とタキサン系の直接比較では、累積投与量や投与強度の大きいレジメンが、より効果的であることが示された。
評価
EBCTCGによる最新のメタ解析で、タキサン・アントラサイクリンを組み合わせることで単独よりも高い効果が期待できること、投与量の多いレジメンで効果が最大化することを示した。意外なのは、現在のガイドラインが推奨している順次投与にベネフィットを認めなかったことである。