進行腎細胞がんでのTKI休薬は治療効果を損なわない:STAR試験
Temporary treatment cessation versus continuation of first-line tyrosine kinase inhibitor in patients with advanced clear cell renal cell carcinoma (STAR): an open-label, non-inferiority, randomised, controlled, phase 2/3 trial

カテゴリー
がん
ジャーナル名
The Lancet Oncology
年月
March 2023
24
開始ページ
213

背景

チロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)による進行腎細胞がん治療は、通常疾患が進行するまで継続されるが、いくつかの小規模研究によれば、スニチニブ治療で進行した患者で治療中断後に再チャレンジを行うと、スニチニブに対する感受性が回復することが示唆されている。
イギリスUniversity of SheffieldのBrownらは、切除不能な局所・遠隔転移または進行性淡明細胞型腎細胞がん患者を、24週後のスニチニブまたはパゾパニブ投与を行った後、病勢進行まで治療を中断する休薬群、またはそのまま投薬を続ける継続群へと割り付け、全生存期間その他のアウトカムについて検証する第2/3相ランダム化非劣性試験STARを実施した(n=920)。

結論

ITT集団の全生存期間ハザード比は0.97であり、休薬戦略の非劣性が示された(per-protocol集団では非劣性基準を満たさず)。質調整生存年(QALYs)については、ITT集団、per-protocol集団とも非劣性であった。

評価

免疫チェックポイント阻害薬が登場した現在も、TKI単剤治療は進行腎細胞がん治療の選択肢である。この試験ではTKI療法を一時的に中断しても、予後に大きな影響はなかった。投薬の長期化に伴うQOL悪化や治療コストの問題に対するソリューションとなりうる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)